膵島移植~未知への道~
膵・膵島移植研究会や厚労省の動き、受診病院・個人についての記録


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東北大学病院 検査入院・・・初日(1日目)
東北大学病院 検査入院・・・初日(1日目)
入院初日
(1日目) 9月12日(月)
体温: 36.3℃(早朝)
体重: 70.45kg(夕食後)

5:00 起床
5:30 妻と共に家を出る
5:50 新千歳空港連絡バスに乗車
7:50 千歳空港・チェックイン:仙台空港行き出発(ANA)
9:00 仙台空港着
東日本大震災で仙台空港→仙台駅行きの直通電車は一部不通・連絡バスに乗り継ぎ、電車にて仙台駅へ
仙台駅からバスにて東北大学病院へ
10:20頃 東北大学病院着
入院センターにて手続き
病棟詰め所に行く
14階病棟西1417号室に入院
12:30 食事(糖尿病食:エネルギー基準食3)
9月12日(月)昼食
メニュー (エネ:kcal、蛋白:g)   特記
●ごはん180g(エネ:302kcal、蛋白:4.5g) ※180gを110gに調整
            110gに調整 (エネ:≠185kcal、蛋白:2.75g)
●揚げ魚の野菜あんかけ(エネ:166kcal、蛋白:14.0g)
●小松菜の煮浸し(エネ:15kcal、蛋白:1.3g)
●ごぼうサラダ (エネ:63kcal、蛋白:2.0g)
●梅干し(エネ:2kcal、蛋白:0.1g)
●果物 (エネ:28kcal、蛋白:0.7g)
To. (エネ:576kcal、蛋白:22.6g)
変更後To. (エネ:459kcal、蛋白:20.85g)
※そもそも私個人の普段の常食は、一食当たり100%「玄米食」の110gで有るため、病院食を「玄米ごはん」に出来ないかと主治医に相談しましたが、管理栄養士からは「病院食では出来ない」旨の返事。
※抗GAD抗体が出来やすくなるGABAなどの栄養素をそぎ落とされた「精米された白米」である病院食は、以降、炭水化物の主食は全て110gとさせてもらう。(デジタル計量器持参)

13:00頃 妻帰る
18:00 食事(糖尿病食:エネルギー基準食3)
9月12日(月)夕食
メニュー (エネ:kcal、蛋白:g )特記
●ごはん110gに調整( エネ:≠185kcal、蛋白:2.75g) 180gを110gに調整
●すまし汁 ( エネ:14kcal、蛋白: 1.9g)
●豚肉の生姜焼き ( エネ:221kcal、蛋白: 12.6g)
●お月見盛り合わせ ( エネ:93kcal、蛋白: 2.5g)
●もやしの煮浸し ( エネ:11kcal、蛋白: 1.3g)
変更後To. ( エネ:524kcal、蛋白: 21.05g)

療養計画書
主治医 宇野G
主治看護師 加藤
安静度 院内
清潔 入浴・シャワー可
食事 1800kcal(自主的に 1450kcal/day に変更) 蛋白・塩分指定無し
測定 血圧・脈拍 6:00 14:00 19:00
温 6:00 14:00 19:00
体重 毎日
血糖測定 7:30 11:30 17:30 20:30
畜尿 検査時のみ
飲水量 指定無し
今回の入院を通して、どのようになって退院をむかえたいですか?
検査が予定通り終了して帰りたい。

20:42
最高血圧 134 mgHg
最低血圧 82 mgHg
脈拍数 58 bpm

今日の
SMBG
2011年09月12日
測定回 測定時間 BG(mg/dl) ボーラス(U) 備考
  1:  5:07  298mg/dl  3.0U
  2:  6:48  92mg/dl
  3:  7:25  171mg/dl  3.3U  :朝食
  4:  8:11  230mg/dl
  5:  9:24  160mg/dl
  6: 10:22  197mg/dl
  7: 12:00  208mg/dl  4.2U  :昼食(病院食)
  8: 13:52  196mg/dl
  9: 15:33  191mg/dl
 10: 16:05  193mg/dl
 11: 17:09  141mg/dl
 12: 17:50  130mg/dl      :打ち忘れ(病院食)
 13: 20:25  347mg/dl  3.0U  :食後ボーラス
 14: 21:08  331mg/dl  1.1U  :就寝

SMBG Ave.: 206.1mg/dl

治療方法: CSII療法(MiniMed paradigm712+クイックセット)
インスリンの種類: イーライ・リリー社:ヒューマログ注(バイアル)
血糖測定器: Abbott Precision Xceed + G3b血糖測定電極
インスリンの計算方法: インスリン/炭水化物レシオ Opifex(オピフェックス)
ベーサル量合計(U): 18.9U/day(時間毎に、その日の生体に合わせた量)
ボーラス量合計(U): 14.6U/day
TDD 33.5U/day
ベーサル比(%) 56.4%
CARB RATIO(g/U): 19g/U
Sensitivity(mg/dl): 67mg/dl





膵島移植:【適格規準】、【選択基準】及び【除外基準】
膵島移植:【適格規準】、【選択基準】及び【除外基準】

別 紙 1

高度医療申請様式第5号
高度医療の内容(概要)
高度医療の名称: インスリン依存状態糖尿病の治療としての心停止ドナー膵島移植
適応症: インスリン依存状態糖尿病

内容:

(先進性)
1)膵島移植は、血糖不安定性を有するインスリン依存状態糖尿病に対して血糖安定性を再獲得するために低侵襲性かつ、高い安全性をもって遂行できる組織移植医療である。 2)膵臓から膵島を分離する技術を改良することにより、心停止後に提供された膵臓を用いて安定して膵島移植を行うことができている。脳死ドナー膵を用いることが世界的標準であり、本邦が有する膵島分離技術は世界的に卓越したものである。

(概要)
膵島移植は、血糖不安定性を有するインスリン依存状態糖尿病に対して、他人より提供された膵臓から分離した膵島組織を移植することで血糖の安定性を取り戻すことを可能とする医療である。局所麻酔下に膵島組織を門脈内に輸注する方法で移植され、低侵襲かつ高い安全性を有することが特徴である。本治療法においては、血糖安定性を獲得するまで移植は複数回(原則3回まで)実施でき、免疫抑制法は新たに有効性が確認されているプロトコールが採用されている。

(管理人注:参考:欧米においてClinical Islet Transplantation Consortium(CITC)が組織され,このプロトコールを基本とした臨床試験(PhaseIII)が行われている。)

(効果)
血糖不安定性を有するインスリン依存状態糖尿病全症例において内因性インスリン分泌の再開と血糖値の安定化が期待される。

(高度医療に係る費用)
典型例として福島医大のものを下記に記載した。
入院分 10,382,695円、外来分 2,752,538円、合計 13,135,233円



【別添】「インスリン依存状態糖尿病の治療としての心停止ドナー膵島移植」の被験者の適格基準及び選定方法
(申請書類より抜粋)

【適格規準】
膵・膵島移植研究会の適応認定を受けており、かつ以下の選択基準をすべて満たし、かつ以下の除外基準のいずれにも該当しない患者を適格として登録する。

【選択基準】
当臨床試験に参加するためには、以下の条件全てを満たす必要がある。
1) 同意取得時年齢は18歳から65歳まで。
2) 本人より臨床試験参加に対して文書による同意を得ることができる。
3) 当臨床試験でのプロトコールの手順に従うことができる。
4) 臨床試験参加時にインスリン依存状態の期間が5年を越えて持続していること。
5) 内因性インスリン分泌が枯渇している。
内因性インスリン分泌枯渇の定義:basal C-peptide <0.1 ng/mlで、グルカゴン負荷でも上昇が認められない。
6) 糖尿病に対するインスリン強化療法を行っていること。インスリン強化療法とは、1週間にわたって1日平均4回より高頻度の自己血糖測定を行い、そして1日4回あるいはそれ以上のインスリン注射もしくはインスリンポンプによる治療を実施していることと定義する。そして、このインスリン強化療法は、過去12ヶ月の間に1回/月程度の割合で糖尿病専門医に評価をうけた上で調整されたものでなければならない。
7) 過去12ヶ月間に重症低血糖発作が1回以上発症していること。なお、重症低血糖発作の定義は適切な血糖管理下において以下のいずれかの項目を満たすものとする:1)自分以外の人(他人)による介助を必要とし、かつその際の血糖値が60mg/dL以下である、2)自分以外の人(他人)による介助を必要とし、かつ炭水化物の経口摂取、ブドウ糖の血管内投与、グルカゴン投与によって速やかに回復が認められたもの。
8) Clark Score、HYPO Score、Lability Indexについてのデータを持っている。
なお、腎移植後膵島移植の場合には、以下の選択基準を加える。
IAK-1.腎移植後6ヶ月以上経過している。
IAK-2.クレアチニン1.8mg/dl以下で、直近6ヶ月の血清クレアチニンの上昇が0.2以下で持続的上昇を認めない。
IAK-3. ステロイド内服量が10mg/day以下。
1)小児に対する安全性データがないため
2)~3)臨床試験を倫理的に実施する上で必要な項目として設定した。
4)~8)本臨床試験に参加する際に適格な糖尿病患者を選択するために設定した。
IAK-1〜IAK-3 本臨床試験に参加する際に的確な腎移植後糖尿病患者を選択するために設定した。

【除外基準】
以下の条件のどれかに相当した場合、当臨床試験に参加することは不可能となる。
1) 体重が80kgを超えている。もしくは、BMIが25kg/m2 を超えている。
2) インスリン必要量が0.8IU/kg/日以上、あるいは 55U/日以上。
3) 過去1年間に複数回測定したHbA1cの平均値が10%以上。
4) 未治療の増殖性糖尿病性網膜症を有している。
5) 血圧:収縮期血圧>160mmHgあるいは拡張期血圧>100mmHg。
6) クレアチニンクリアランス(またはeGFR)60ml/min以下(膵島単独移植の場合に限定する)。
7) 現在、尿タンパクが1g/日以上。
8) フローサイトメトリーによるPRA(panel reactive antibody)が20%以上。
9) 女性の参加者の場合:妊娠反応陽性例、現在授乳中、あるいは臨床試験中と臨床試験終了後3ヶ月間に効果的な避妊方法の実施を了承しない。男性参加者の場合:臨床試験中と臨床試験終了後3ヶ月までに挙児希望のある場合、あるいはその期間中に効果的な避妊方法の実施を了承しない。
10) 以下の活動性感染症がある。
B型肝炎、C型肝炎、HIV感染症、HTLV-I感染症あるいは結核を含む抗酸菌症。具体的にはキャリアを含むHBs抗原あるいはHBV-DNAの陽性者、HCV-RNA陽性者注)、HIV抗体陽性者、HTLV-I抗体陽性者。結核を含む抗酸菌症に関しては、クオンティフェロン検査が陽性の場合、あるいは胸部CTにて潜在性結核感染症(Latent tuberculosis infection::LTBI)や非定型抗酸菌症が疑われる場合、抗酸菌症を疑って薬物治療が行われている場合をもって活動性感染症とみなす。ツベルクリン反応は特に参考としない。
注)血漿HCV-RNAの測定は通常HCV抗体陽性者に対して実施される。ステロイドの長期内服時など、抗体産生が抑制されることが予想される場合には、HCV抗体の結果にかかわらず、血漿HCV-RNAを測定する。
11) Epstein-Barr Virus(EBV)に対するIgG抗体陰性。
12) 臨床試験参加前1年間に浸潤性アスペルギルス感染症に罹患したことがある。
13) 癌の既往をもつ。ただし、完全に切除された皮膚の扁平上皮癌あるいは基底細胞癌は除外する。
14) アルコール依存症あるいは薬物依存症を持っている。
15) 検査施設での正常下限を下回るヘモグロビン値;リンパ球減少症(<1,000/μL)、好中球減少症(<1,500/μL)、あるいは血小板減少症(血小板<100,000/μL)。
16) 第 V 因子欠損の既往がある。
17) 凝固障害があるもの、もしくは移植した後も長期にわたって抗凝固剤(ワーファリンなど)の投与が必要となる医学上の状態を有するもの(低容量のアスピリン治療の場合には許容できる)、またはプロトロンビン時間のINR(International Normalized Ratio)値が1.5を超えているもの。
18) 重度の併存する心疾患を有する場合。以下のいずれかの状態:
① 最近(過去6ヶ月以内に)発症した心筋梗塞。
② 昨年内に心機能検査において診断された虚血障害。
③ 左心室のejection fractionが30%未満。
19) 臨床試験参加時に肝機能検査値が持続的に高値を示すもの。肝機能検査異常とは、SGOT(AST)、SGPT(ALT)、Alk Phosあるいは総ビリルビン値が、正常値上限の1.5倍以上の高値が持続していること。
20) 症候性胆石症を有する。
21) 急性または慢性膵炎を有する。
22) 症候性消化性潰瘍を有する。
23) 重度の頻回な下痢、嘔吐あるいは潜在的に経口薬剤の吸収を障害する可能性のある胃腸障害を有する。
24) 医学的治療に抵抗性の高脂血症(空腹時 LDL コレステロールが 治療されてもされていなくても130mg/dLを超えている場合、かつ、もしくは空腹時の中性脂肪が200mg/dLを超えている場合)を有するもの。
25) 慢性的なステロイド薬の全身投与を必要とする医学的状態に対する治療を受けている。
26) 臨床試験参加の4週間以内にインスリン以外の抗糖尿病薬を投与されたもの。
27) 臨床試験参加の4週間以内に何らかの臨床試験中の薬剤の投与を受けたもの。
28) 臨床試験参加の2ヶ月以内に弱毒生ワクチンの接種を受けている。
29) 臨床試験遂行に必要な検査のための入院、定期的な外来通院が不可能である。
30) 臨床試験遂行に問題となる精神的異常を有している。
31) その他、臨床試験担当医によって臨床試験参加が不適切と判断されたもの。

除外基準1~28の設定根拠は下記のとおり。
1)~3)膵島移植の適否を考慮して設定した。
4)~23)、27)、28)安全性を考慮する項目として設定した。
24)、25)有効性評価への影響を考慮して設定した。
26)安全性有効性評価への影響を考慮して設定した。

膵島移植「検査入院」前
2011.03.04~2011.03.05
第38回日本膵・膵島移植研究会を開催
至:奈良県新公会堂

2011.03.07
日本膵・膵島移植研究会事務局より電話
今年度から本格的に移植研究が進む旨のお話有り。
そこで、複数の移植待機病院が有る場合(私の場合、京都大学及び東北大学各付属病院で登録済み)、第一選択の優先を決めるよう促される。
私の住まいが北海道のため、交通費等を鑑み、その時点で「東北大学付属病院」を第一選択病院として決定する。

2011.07.13
東北大学附属病院:後藤昌史教授より電話有り
教授自らの電話で、新しい膵島移植の治療研究について詳しいお話をして下さいました。
それらを踏まえ、私自身が新しい膵島移植の前に行う必須検査を受けるかどうかを判断して欲しいとのこと。
家族や主治医等とじっくり話をして、結果を後日返事する旨お話ししました。

2011.07.30
東北大学付属病院:後藤先生へメールで返信
・・・(前略)お忙しい中、先日はお電話ありがとうございました。
また、今回の東日本大震災に関してお見舞い申し上げます。

さて、高度先進医療の膵島移植治療研究に対する検査入院につきましては、前向きに検討し受けることと致しました。
お世話になります。宜しくお願いいたします。

そこで、申し訳ないのですが
何も解らないので、まとまりもなくいくつかの質問等を列挙します。
(後略)・・・
ということで、質問も含めメールで回答いたしました。

2011.08.13
東北大学附属病院:後藤先生から質問に対する返答
上記の検査入院について、チームの代謝内科医(長谷川 豊先生)と入院日程を調整する旨お話が有りました。
また、私からの様々な質問に対して、ひとつ一つ細かく回答・返答して下さいました。

また、仕事の都合で、休めない日もあるので、それらを後日メールする旨、お話しいたしました。

※数回・数度の都合の悪い日をメールでお知らせいたしました。

2011.09.04
東北大学付属病院:長谷川先生から電話あり
検査入院の日程や、入院時に必要なものをお知らせいただきました。

こちらの都合なのですが、検査終了の最終日の復路航空券予約のため、最終日の退院時間の目安を伺いましたが、調べる必要があるので明日又電話する旨お話がありました。

2011.09.05
東北大学付属病院:長谷川先生から電話
検査最終日の時間を確認していただき、復路の航空券予約が出来ました。





膵島移植における免疫抑制法
(Link) 膵島移植における免疫抑制法

膵臓26:197~203,2011より
膵臓26巻2号(2011)

〔特集〕膵臓・膵島移植の現況と最新の研究
膵島移植における免疫抑制法

岩永康裕 金宗潤1) 高折恭一2) 上本伸二1,2)
1) 京都大学医学部附属病院臓器移植医療部
2) 京都大学医学部肝胆膵・移植外科


要旨:

膵島移植では,インスリン離脱するために2~3 回の移植を必要とし,たとえインスリン離脱してもそれを移植後長期に渡って維持することが難しい.アロ免疫反応以外に膵島移植特有の免疫反応があるからである.
まず,膵島が門脈経由で移植された直後に,補体,凝固,そして自然免疫反応によって血栓性及び炎症性反応であるInstant blood―mediatedinflammatory reaction(IBMIR)が引き起こされる.
次に,核内タンパク質が関与する早期拒絶反応も起こり,中長期的には,主な対象である1 型糖尿病が自己免疫疾患であるため自己免疫の再発が起こる.
移植成績の向上を図るため,これらの免疫反応から移植膵島を防御する方法が検討されている.
免疫抑制剤については,ミネソタ大学から報告されたプロトコールが有望で,長期成績の改善が示唆されている.本邦でも,この方法を踏襲したプロトコールの導入が予定されている.

索引用語:

膵島移植 IBMIR  自己免疫 アロ免疫 免疫抑制剤


(参考)
※膵島とは?>:膵臓は、インスリンやグルカゴンを分泌して血糖調節を行う内分泌細胞と、アミラーゼやリパーゼなどの消化酵素を分泌して消化吸収を助ける外分泌細胞という2種類の、まったく働きの異なる細胞からできています。このうち内分泌細胞は、「膵島」と呼ばれる直径約0.1~0.3mmの球状の塊を形成し、膵臓の中に点々と散らばっています。塊としてちらばっている様子から“膵臓のなかの島”という意味で膵島の名前がついています。膵臓の中には成人一人あたり約100万個の膵島があります。膵島にはα細胞、β細胞、その他ごく少数の働きの違う細胞があります。β細胞は、血糖が上昇した場合に血糖を低下させるホルモンであるインスリンを分泌します。反対に血糖が低下しすぎた時にはα細胞から血糖を上昇させる働きがあるグルカゴンが分泌されます。(福島県立医科大学臓器再生外科学講座 より)
※膵島移植とは?:血液中のブドウ糖(血糖)の濃度調節に重要な役割を果たしている膵島組織を膵臓から分離し、重症インスリン依存状態糖尿病患者に移植する細胞組織移植療法です。(京都大学病院 肝胆膵・移植外科 情報室 より)
※IBMIRとは?:膵島が門脈経由で移植された直後,血液内の補体の活性化と凝固反応が起こること,またこれには血小板と白血球の急激な活性化と消費が伴う反応を言う。
※自己免疫とは?:異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまう症状の総称。
 からだの健康を守る免疫系は、外からからだのなかへ侵入してきたウイルスや細菌などの異物(非自己)に対してはたらき、からだを防御しますが、生まれながらからだのなかにある物(自己)に対しては働かないのが原則です。ところが、自己を非自己と認識して免疫系が働いてしまうことがあります。これを自己免疫と呼び、この非自己に由来する抗原物質に対しBリンパ球が反応していろいろな抗体(自己抗体)をつくり出し、一方ではこの抗原に刺激されてTリンパ球が作動しはじめます。そして、抗原性を示す細胞が活性化されたTリンパ球の標的として直接あるいは抗体を介して攻撃を受け、細胞が破壊されて病気がおこってくることがあります。この病気を自己免疫疾患といい、肝臓を場として自己免疫反応がおこった病気が自己免疫性肝疾患です。(kotobank より)

※アロ免疫とは?:移植には臓器提供者のドナー(donor)と臓器需要者のレシピエント(recipient)が存在する。同系とはまったく同じ遺伝子をもつものであり、例として一卵性双生児などが挙げられる。同系に対し、アロとは他人のことである。(役に立つ薬の情報~専門薬学 より)
※免疫抑制剤とは?:免疫の働きを抑える薬で、臓器移植や骨髄移植のほか、自らの細胞を異物と認識してしまう自己免疫疾患などの治療に使われる。ウイルスや細菌から身を守る機能を弱めるため、感染症にかかりやすくなる。このため臓器移植では、免疫による拒絶反応を抑えながら感染症も防ぐ両方のバランスが重要となる。移植患者は通常、一生にわたって使い続ける必要がある。(kotobank より)
(参考記入:管理人)


はじめに

臨床膵島移植は1970 年代に始まったが,当初は良い成績を得ることができなかった.
ところが,2000 年にカナダのアルバータ大学からいわゆる“エドモントンプロトコール”が発表されて移植成績が飛躍的に向上した1).
その後,このプロトコールが膵島移植の標準となり膵島移植は世界中に広まった.
その主な特徴は,
①免疫抑制剤にステロイドを使わずに,シロリムスと少量のタクロリムスを使用すること,
②一人の患者に複数回の移植を行うこと,
③腎機能が保たれている患者を対象とすること,
である.
移植後の成績に関しては,同じくアルバータ大学から移植後5 年間の成績が発表された2).
まずインスリン離脱率は移植後2 年で約40%,5 年で約10% であった.
これは膵臓移植の移植後5 年で60~70% と比べてかなり低い値である.
膵島移植の移植成績が低い理由として,特に免疫反応が関係していると考えられている.
まず,門脈経由で膵島が移植された直後にInstant blood―mediated inflammatory reaction(IBMIR)が起こる.
次に,移植膵島細胞の早期拒絶反応が起こり,また,主な対象疾患の1 型糖尿病は自己免疫疾患であるため,アロ免疫反応だけでなく自己免疫の再発も起こり,移植成績に大きく関与している.
ここでは,それらの膵島移植特有の免疫反応に対する免疫抑制療法について述べる.

Instant blood―mediated inflammatory reaction(IBMIR)

Bennet らのグループは,膵島が門脈経由で移植された直後,血液内の補体の活性化と凝固反応が起こること,またこれには血小板と白血球の急激な活性化と消費が伴うことを見出した.
この反応がInstant blood―mediated inflammatory reaction(IBMIR)である3).
すなわち,IBMIR は主に補体,凝固,そして自然免疫反応によって引き起こされる血栓性及び炎症性反応であり,移植された膵島の50~70% を移植後早期に破壊するため,殆どの膵島移植患者がインスリン離脱するために2~3回の移植を必要とすることの主な原因となっている4).
凝固カスケードはIBMIR 発生の引き金と考えられている.
分離中の膵島は,繰り返し虚血再還流傷害を受ける.
その結果,膵島組織表面にTissue Factor(TF),MCP―1 等の分子が発現する.
膵島が門脈内に注入された後,これらの分子はトロンビンの活性と補体メディエーターによる細胞傷害を起こし膵島細胞を破壊する5).
TF 依存的に活性化する凝固カスケードは,トロンビン―抗トロンビン(TAT)複合体の形成を導く5).
TAT に加えてもう一つの凝固複合体(FVIIa―AT)が作られ,MCP―1,IL―8,VEGF,マクロファージ抑制因子等いくつかの炎症反応遺伝子も発現する6,7).
凝固カスケードが活性化した後,膵島細胞は好中球とマクロファージが集まった凝血に囲まれる8).
これらのマクロファージは膵島細胞の破壊に関与しており,移植膵島細胞が分泌する活性化補体やMCP―1 等の単球走化性因子により動員される7,9).
マクロファージは細胞毒性以外にも,T 細胞に対する抗原提示細胞としても機能し,移植された細胞のアロ免疫拒絶を誘導する.
従って,IBMIRと獲得免疫反応(膵島細胞のアロ及び自己免疫拒絶)は連鎖していると言える.
IBMIR を防ぐには,補体活性と凝固の両方のカスケードを遮断することが必要である.
補体カスケードを阻害するために,Bennet らはヘパリンに液性補体受容体(sCR1)を加えることで,膵島細胞の早期破壊を防ぐことに成功した10).
低分子硫酸デキストラン(LMW―DS)(分子量:5000)は,いくつかのメカニズムによりIBMIRを阻害する11).
① C1 インヒビターの増強と補体の活性化を制御するH 因子への結合によって補体カスケードを阻害する12,13),
②虚血再還流から生じる細胞傷害において,TF の発現と分泌を抑える14),
③ LMW―DS を点滴注入することで,膵島保護作用を持つHGF の分泌を増加させる15).
LMW―DS は,IBMIR 予防における臨床応用への有力な候補薬剤と言える16,17).
凝固カスケードを抑える簡単な方法として,新鮮な膵島細胞を用いることが挙げられる.
培養膵島細胞に比べてTF の発現が低く,IBMIR による細胞障害を受けにくいからである18).
Melagatran はトロンビンの特異的阻害剤で,膵島細胞の早期破壊を抑える.
また,補体カスケードのみならず,血小板の消費と白血球の浸潤をも阻害する.
Melagatran は膵島細胞に対しては毒性がないが,ヒトへの全身投与を行った場合,肝機能傷害の副作用を起こすため,臨床への応用は適さないと考えられる19).
従って副作用の低い類似化合物の探索が求められる.
もう一つの抗凝固剤に活性化プロテインC(APC)がある.
APC は,マウスの膵島細胞移植モデル実験で,いくつかの炎症性サイトカイン放出を抑えIBMIR を遮断したという報告がある20).
全身ヘパリン投与からくる副作用を軽減するため,膵島細胞機能を変えることなく,その表面をヘパリンコートする方法がある.
ヘパリンコートされた膵島細胞は,血液との接触後,広範囲の凝血,TAT の産生,そして補体の活性化を起こさなかった21).
またヘパリンコートは,成長因子(例:VEGF,FGF)との結合による膵島細胞の生着も促進した22,23).
ニコチンアミドは,免疫細胞の走化性や白血球の浸潤を阻害すると共に,分離工程における膵島細胞からのTF の発現を防ぐことで,凝固カスケードを遮断する.
また,ニコチンアミドはMCP―1 の分泌を遮断することにより免疫細胞の走化性を阻害する24).
膵島細胞を血液との接触から隔離することで,IBMIR を遮断することができる.
ヒト膵島細胞を動脈内皮細胞と共に培養することで膵島細胞―内皮細胞複合体を作成し,内皮細胞はIBMIR を惹起しないので,この組織複合体が血液と接触しても,凝固・補体両経路の活性を軽減できる25).
IBMIR の最終段階では,マクロファージや好中球が,門脈内に注入された膵島細胞に向かって移動する.
いくつかの炎症性サイトカインが,マクロファージの走性に関わることが知られており,移植後の膵島細胞の初期機能を向上させる目的で,走性阻害因子を用いた検討がなされている26).
アデノシンは,ナチュラルキラーT 細胞(NKT)によるINF―γ の産生を抑制し,膵島細胞の早期損失を抑えることが明らかになっている27).

早期拒絶反応

福岡大学の安波らのグループは,糖尿病マウスモデルを用いて,膵島が核内タンパク質であるHigh―mobility group box 1(HMGB1)を大量に放出する細胞であることを見出し,そのHMGB1が膵島の肝臓内移植の際に起こる早期拒絶反応に関与していることを突き止めた28).
すなわち,HMGB1 が細胞外へ放出されると,樹状細胞に作用し,IL―12 を産生させて,NKT 細胞を活性化する.
その結果,多形核白血球からのINF―γ の産生を誘導し,膵島細胞の拒絶反応を起こすことが明らかになった.
さらに,抗HMGB1 抗体の投与で,移植膵島の早期拒絶反応を防ぐ治療法を確立し,糖尿病マウスモデルで移植効率を約4 倍改善させた28).
HMGB1 はヒトにも存在し免疫系を活性化する重要な物質であるため,抗HMGB1 抗体は臨床膵島移植において極めて有効な抗体療法となりうる.

自己免疫

膵臓及び膵島移植の対象は,自己免疫疾患である1 型糖尿病がほとんどであるため,アロ免疫反応だけでなく,自己免疫の再発も移植成績に大きく関与している.
膵島移植における自己免疫再発のメカニズムはまだ明確にはなっていないが,アロ免疫反応と自己免疫反応は相互に促進しあっている29).
従って,自己免疫反応をブロックすることは,重要である.
エドモントンプロトコールの成功は,その免疫抑制法がアロ免疫と自己免疫反応の両者をブロックするための免疫抑制剤の組み合わせであったことも一部は関係している.
現在,自己免疫の再発を防止するいくつかの方法が研究されている.
例えば,FTY720 はリンパ球が移植グラフト中に浸潤するのを防ぐ作用を持つimmunomodulatorであるが,移植膵島がアロ免疫と自己免疫で破壊されるのを防ぐのに有効であることが見出された30).
自己免疫反応の過程で移植グラフト中に浸潤しているほとんどのT 細胞は,IL―2 receptor を発現しているCD25 陽性細胞なので,抗CD25 モノクローナル抗体と抗CD4 モノクローナル抗体を用いることで自己免疫の再発を防ぐことができる31).
同系マウス実験モデルで,YTS177 というNon―depleting 抗CD4 モノクローナル抗体が自己免疫寛容を回復させることが示された32).
自己免疫寛容の誘導は,動物実験で成功例が報告されている.NOD マウスモデルで,膵島と胸腺マクロファージあるいは骨髄を同時に移植することで自己免疫寛容を誘導することができた33,34).
レシピエントに多能性造血幹細胞の同種移植を行うことで自己免疫寛容を誘導する方法も報告されている35).
これはT 細胞のchimerism を導いてドナーの膵島細胞に対して寛容を誘導している.

マイクロカプセル化膵島

移植膵島がアロ免疫及び自己免疫による攻撃から逃れる方法にマイクロカプセル化技術がある.
カプセルにあらかじめ膵島を封入してから移植するもので,カプセルの材料には,アルギネートと呼ばれるバイオポリマーやセルロースなどがある.
カプセルのサイズが大きいと移植量のlimitingfactor となるので,400μ m 以下のマイクロカプセルが用いられる.インスリン,
糖,酸素,その他の栄養物質はカプセルを自由に透過するが,免疫に関する抗体とT 細胞は通さない.
そのため,血糖に応じてインスリンは分泌されるが,免疫抑制剤は不要である.
まだ,臨床応用には至っていないが,実験的なトライアルとして人間のモデルでも使用されている36,37).

免疫抑制剤

臨床膵島移植初期の免疫抑制剤プロトコールは,アザチオプリン,シクロスポリン,ステロイドを使用したものであった.
1990 年代のレジメンではステロイドを使っていたが,そのステロイドの膵島に対する毒性によって,インスリン離脱に至る症例はほとんどなかった38).
そこで,2000 年にShapiro らがステロイドを使用しないエドモントンプロトコールでの成功を発表した1).
このプロトコールにおける免疫抑制療法は,ステロイドを抗IL―2 receptor モノクローナル抗体であるダクリズマブに代え,シロリムスと低用量のタクロリムスを使用したもので,それまで芳しくなかった臨床膵島移植の成績を大きく改善させ,世界中で採用された.
カルシニューリン阻害剤も膵島毒性の問題があることから,2008 年にマイアミ大学から,ステロイド及びカルシニューリン阻害剤フリーのプロトコールでの移植成績改善が発表された39).
抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブ(Campath―1H)で導入し,移植後3 ヵ月間はシロリムスとタクロリムスを,その後はシロリムスとミコフェノール酸モフェチル(MMF)を維持療法に使用した.
このプロトコールは,現在安全面と効果について治験として検証されている.
ミネソタ大学のHering らは,新しい免疫抑制剤プロトコールとして,anti―thymocyte globulin(ATG)と抗TNF―α receptor 阻害剤(エタナセプト)による導入療法に続いて,
低用量のタクロリムスとシロリムスでの維持療法を行った40).
全例1 回の移植でインスリン離脱が得られ,8 例中5例は移植後1 年経過してもインスリン離脱を維持していた.
現在,欧米においてClinical Islet Transplantation Consortium(CITC)が組織され,このプロトコールを基本とした臨床試験(PhaseIII)が進められている.
また,同グループは,anti―thymocyte globulin(ATG)と抗TNF―α receptor 阻害剤(エタナセプト)で導入し,最初の1 年はサイクロスポリンとエベロリムスで,その後はエベロリムスをMMFに代えて維持療法を行うという前述のプロトコールを修正した免疫抑制療法を行った41).
その結果,重篤な有害事象なく6 例中5 例で移植後1 年間インスリン離脱が得られ,さらにそのうち4 例は3.4年間インスリン離脱のままであると報告し,長期成績の改善を示唆した.

おわりに

膵島移植における免疫抑制法について紹介した.
本邦では,現在,臨床膵島移植は停止しているが,膵・膵島移植研究会を中心として,高度医療評価制度を利用して再開する予定になっている.
その際の免疫抑制療法は,前述のミネソタ大学から報告された方法を踏襲したプロトコールの導入が検討されている.
ただし,シロリムスが国内で流通していないため,代わりにMMF を初めから使用する予定である(Fig. 1).



Fig. 1 日本の膵島移植における新しい免疫抑制剤プロトコール
導入免疫療法はATG とエタナセプトを採用.維持免疫療法はタクロリムスまたはサイクロスポリンとMMF で行う.

(図や参照等は「原文」をご覧下さい。)


第52回 先進医療専門家会議議事録 及び 膵島移植の高度医療への承認につきまして
(Link) 第52回 先進医療専門家会議議事録

2010年10月4日 第52回 先進医療専門家会議議事録
○日時
平成22年10月4日(月)14:30~16:30

○議事
第52回先進医療専門家会議 議事録
(1)開催日 平成22年10月4日(月)
(2)場所  中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)
(3)出席者 猿田座長、吉田座長代理、加藤構成員、笹子構成員、田中(良)構成員
       竹中構成員、加藤構成員、新井構成員、赤川構成員、谷川原構成員
       中川構成員、永井構成員、福井構成員
       事務局:審議官、医療課企画官、医療課主査、高度医療専門官
       薬剤管理官、医療指導監査室長他
(4)議題  ○第3項先進医療(高度医療)に係る新規技術の科学的評価等について
       (先-1)
       ○第2項先進医療に係る新規技術の届出状況について
        (1)9月受付分の届出状況
        (2)8月受付分の届出状況(先-2)
(5)議事内容
午後2時36分 開会
○猿田座長
 遅れましたけれども、電話で笹子先生が参加してくださって、それから北村先生からも書類での参加がありますので、人数が足りまして成立ということで、それでは第52回先進医療専門家会議を始めさせていただきます。
 まず本日の構成員の出欠状況です。飯島構成員、金子構成員、木村構成員、木村構成員、書類では出席です。田中憲一構成員、辻構成員、坪田構成員、戸山構成員、渡邉構成員が御欠席との連絡をいただいております。
 それでは資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局
 事務局でございます。資料の確認をさせていただきます。まず、1枚目に今回の議事次第がございます。2枚目に構成員の先生方の名簿。続きまして、第3項先進医療(高度医療)に係る新技術の科学的評価等についてということで先-1としております。その後に別紙1、2と付けております。
 議題2としまして、第2項先進医療に係る新規技術の届出状況についてです。9月受付分の届出がございませんでしたので、8月受付分の届出状況を先-2としまして、その後ろに別紙3、4と付けてございます。

(中略)

○事務局
 資料の説明をさせていただきます。右上に先-1と書かれている資料を御覧いただければと思います。高度医療評価会議において承認された新規技術に対する事前評価結果等についてでございます。
 整理番号18番、技術名はインスリン依存状態糖尿病の治療としての心停止ドナーの膵島移植でございます。適応症はインスリン依存状態糖尿病。
 医薬品・医療機器情報につきましては割愛させていただきます。
 保険給付されない費用につきましては、1,313万5,000円で3回となっております。保険給付される費用につきましては221万8,000円となっております。
 事前評価を御担当いただきました構成員は福井先生でございまして、「適」という総評をいただいております。詳細につきましては別紙1を御覧いただければと存じます。
 続きまして整理番号26番になります。技術名は転移・再発を有する腎細胞癌に対するピロリン酸モノエステル誘導γδ型T細胞と含窒素ビスホスホン酸を用いた癌標識的免疫療法となります。
 適応症につきましてはサイトカイン療法不応症の転移・再発性腎癌となっております。
 医薬品・医療機器情報については割愛させていただきます。
 保険給付されない費用につきましては、71万2,000円。ただし1コース目は38万2,130円、2・3コース目につきましては56万円となっております。保険給付される費用につきましては154万7,000円となっております。事前評価を御担当いただいた構成員は吉田先生にお願いしておりまして、総評で「適」という御評価をいただいております。詳細につきましては別紙2を御覧いただければと存じます。以上です。


○猿田座長
 どうもありがとうございました。今御説明いただきましたように18番と26番と2つがかかっておりまして、ともに福井先生、吉田先生に見ていただいて「適」ということになっておりますけれども、それではまず18番目のインスリン依存性糖尿病の治療としての心停止ドナー膵島移植に関して、これは福井先生に見ていただきましたので、福井先生、御説明をよろしくお願いいたします。

○福井構成員
 別紙1を御覧いただきたいと思います。インスリン依存状態糖尿病の治療としての心停止ドナー膵島移植です。これは血糖不安定性を有するインスリン依存状態糖尿病の患者さんに対する膵島組織移植医療です。最初に44ページを御覧いただきたいと思います。この技術自体は資料によりますと1974年に米国で開発されて、日本では2003年に第一例が国立病院機構千葉東病院で行われて、それ以降、京都大学などをはじめ、いくつかの大学病院で臨床研究として行われてきました。この手技は44ページにあるように、心停止のドナーから膵臓を摘出して、保存後、膵島分離を行います。このときにどういう液を使って、どれぐらい遠沈を行うのか、いろいろテクニカルな問題はあったようですけれども、現在、日本で開発されている方法はかなり有効に分離が可能ということであります。
 分離して、膵島がどの程度合うかという評価を行った後、その組織を移植します。そして拒絶反応を制御するためにいろいろな薬を使う必要があり、複数の免疫抑制剤投与を行うわけですが、この部分が新しい医療技術であって、それら全てが適応外使用になるということです。
 45ページにはその膵島移植での免疫抑制剤のプロトコールが記載されております。導入免疫療法と維持免疫療法があり、1回目でうまく生着しない場合には2回目、そして3回目まで行うというプロトコールになっています。
 最初に戻って、2ページを御覧いただきたいのですが、高度医療評価会議では第1回目が昨年12月9日、第2回目が今年の1月29日、最終的な評価が今年の8月26日に開催されております。最終的には適格基準が2ページに挙げられている8項目プラスαですが、この選択基準を全て満たし、かつ2ページから4ページ目に亘る31項目プラスαの除外基準のいずれにも該当しない患者さんを適格として登録するということになっております。
 項目が非常に多いものですから割愛させていただき、7ページ目を御覧いただきたいと思います。非常に膨大な資料をいただいて、私もできるだけフォローしたつもりではありますが、高度医療評価会議におきまして多くの点が指摘されています。最初のバージョンではそのままではとても通らない点があったようです。第2回会議のところを御覧いただきたいのですが、指摘点1から指摘点11まで、かなり細かいところも含め非常に重要な点、倫理的な面も指摘されています。
 それらに対する回答が9ページ以降43ページまで書かれていて、ひとつひとつの指摘点についての対応の資料が添付されております。それらを全て拝見し、5ページ目にありますように、私の総評といたしましては社会的妥当性につきましては、現在この手技、この治療法がインスリン依存状態から脱却するための唯一の方法ということと、その有効性、副作用などを考えますと、倫理的問題はないと考えます。
 現時点での罹患率、有病率から勘案して、普及はまだしていません。効率性は、大幅に効率的と評価しました。有効性評価で文献的には70%ぐらいは期待した効果が得られているということであります。
 私としましては将来的に保険収載を行うことが妥当な手技ではないかと考えました。それらを踏まえまして、総合的には「適」といたしました。簡単ですが以上です。

○猿田座長
 どうもありがとうございました。これは高度医療のほうで大分長い間に亘って検討して、先ほど福井先生からお話がありますように施設に対してこれだけの条件、31の項目に関しまして質問させていただいて、それを逐次直していただいた。それから対応していただいたということで、谷川原先生が、特に免疫抑制剤については関与していただきました。
プロトコールの問題その他すべて御検討いただきまして、高度医療としては認めてよいとされました。画期的な治療ということで長年に亘る苦労の仕事でありまして、最終的に認めてもいいのではないかということでございます。
 ひとつ問題なのは先ほどの先-1の紙を見ていただきますと、保険給付の費用の問題でかなり高い。1,313万という、これをどういうふうに考えていいかということででございます。技術的な面、これから高度医療として進めていく上でのプロトコールに関しては問題ないのではないかということでございます。御意見をいただきたいと思います。谷川原先生、御意見はございますか。

○谷川原構成員
 高度医療評価会議のほうで私が技術員として評価を担当させていただきました。画期的な技術であることは間違いないと思いますが、一番懸念したのは安全性です。といいますのは、移植した膵島をできるだけ長くもたせたいためにかなり強い免疫抑制をかけるという、非常に多くの免疫抑制剤を併用してということですので、そういう状態で重篤な感染とか発癌のリスクが上がってまいりますので、そこの辺りがまだ十分なエビデンスがないということでした。そこに対しては様々な条件を見つけて、例えば患者さんの免疫抑制状態をしっかりモニタリングしてやっていただくとか、そのような形の議論を行って至ったと思います。
 ただ、高度医療評価会議は技術的な点を議論する場ですので、あえてその場では発言しなかったのですが、ここの先進医療でぜひ先生方の御意見をお伺いしたいのは、座長おっしゃったようにコストの問題です。これでいったんはインスリンを離脱する確率が7割ぐらいありますが、それが生涯続くわけではなくて、入れた膵島はその組織が機能している間は機能しますが、いずれそれが機能をなくしてしまうと、そこで増えるわけではないので、また元へ戻ってしまう。ですから、ある一定期間だけインスリンを離脱するだけのために非常に強い免疫抑制剤を使うという安全性と、1,300万円というコストを考えたときに、本当にこれを保険のトラックに載せていいのかというのに私は疑問がありまして、現状のインスリンを注射するほうが安全で安いのは間違いないのではないかと思っています。この辺り御議論いただければと思います。

○猿田座長
 ありがとうございました。ほかに御意見はございませんか。
 非常に画期的な治療であるけれども、今、谷川原先生からお話があったような問題点はある。高度医療のほうではその点も大分議論させていただきまして、高度医療としては認めていいのではないかということでここに来たわけでございますが、どなたか御意見ありませんでしょうか。あるいはこのコストの面ということで、事務局のほうで何か御意見ございますか。

○医療課企画官
 医療課企画官でございます。谷川原先生が今御指摘になった点も含めまして、今回、高度医療評価会議から上がってきました第3項でございますので、高度医療評価会議において一度はその有効性も含めて評価系の中で評価していただく。次にこの先進医療専門家会議で保険併用という観点で別途議論をしていただくことになりますので、その際改めてまして先程ふれていただきました従来からあるインスリン療法等、代替療法とのコスト面、QOL、様々な部分を総合評価していただくことになります。今の時点では少なくとも保険導入ということは全く見えていないという前提でこれをどう考えるのかということを御議論いただければと思っております。

○猿田座長
 ありがとうございました。そういうことでございます。要するに高度医療からこの先進医療に来た場合に保険に近いところにあるようなものもあれば、こういった形で高度先進医療としてしばらく検討して今後どうするか結論を出さねばならぬものもあるわけです。先進医療として申請されてきたものでも、幅広い範囲に亘っています。この案件では、ともかくコストの問題に関しては考えていかなければならない問題と思います。

○中川構成員
 基本的なことで恐縮ですが、この1,313万円の内訳はどういうふうになっていますか。事務局で結構ですが。

○谷川原構成員
 大部分が免疫抑制剤だったと思います。薬剤費だったと思います。

○中川構成員
 7種類使われるんですか。

○猿田座長
 そうなんです。しかも急性期と慢性期と分けてやっていく。

○中川構成員
 その薬剤費の設定はどういうふうに決めるのですか。

○谷川原構成員
 一応ベースになる過去の臨床研究で用いられたプロトコールに新たに薬剤を加えて。ただベースになっているのはアメリカの報告ですが、日本では使えない免疫抑制剤を使っています。それを使えないので代わりに別の薬剤を入れるとか、多少工夫をしています。移植直後にインダクション療法としてかなり強いサイモグロビン等を入れたりとか、あとは維持療法として免疫抑制剤を使うということで、けっこう長期に亘って免疫抑制をかけますからこれだけの薬剤費がかかったのだと思います。

○審議官
 私がお伺いしてはいけないのですが、恐縮ですが、資料46ページにこれは公知申請になっているのですか。これは公知申請したということなのですか。公知申請をしたいということですか。

○谷川原構成員
 だと思います。

○猿田座長
 事務局どうぞ。

○事務局(高度医療専門官)
 医政局研究開発振興課でございます。まずコストの内訳に関してですけれども、基本的には入院費と外来費用、入院費用のほうも移植1回目、2回目、3回目と分かれております。各々大雑把に言いまして300万円ずつぐらいという形でございます。外来費用の大部分の内訳はやはり免疫抑制剤です。7種類ございますので、そういった費用でございます。あと、入院費用に関しては、いわゆる細胞調整施設といいまして、いわゆるCPCで膵島移植を分離したりとか、そういったところのいわゆる材料費でありますとか、人件費でありますとか、そういった費用にかかる金額でございます。
 また、これにつきましては文部科学省の橋渡し研究のほうで、公的研究費により患者さん負担につきましてはなるべく軽減するように努めるというコメントをいただいております。
 もう1点、公知申請でございます。基本的には福井構成員のおっしゃるとおりでございます。膵島移植ということになりますと、膵臓移植には適用があっても膵島になると適用がないという状況がございます。一方でアメリカにおいてはエドモントンプロトコールであるとか、臨床試験が行われておりまして、データが集められているところでございます。
 今回の高度医療の臨床研究をちゃんとしたデータをきちんととりまして、そういった形で公知申請を検討していきたいということでございますが、1剤だけ谷川原構成員がおっしゃるとおりいわゆるエタネルセプトと言われます関節リウマチに主に使う薬がございます。それに関しましては公知申請のデータとしてどうかという議論はございますけれども、まずは公知申請を検討していきたいという申請者のコメントでございます。以上でございます。

○猿田座長
 どうもありがとうございました。今のは46ページにある公知申請の、ここに各試薬が書いてございますけれども、そういったところでございます。

○谷川原構成員
 今のことに関連して事務局にお伺いしたいのですが、1,300万の患者さんの個人負担が高額になりますので、高度医療のときでも研究費を使うとか、企業のほうがこの薬剤費を持つという、いろいろ交渉中だという話をされていましたが、結局どうなったんですか。

○事務局(高度医療専門官)
 こちらのほうもいわゆる研究事務局が企業とまさにまだ交渉中の段階でございます。ただ、そこは企業の提供が難しくても、文部科学省からの公的研究費が使えるように検討をしていると聞いております。

○猿田座長
 よろしいでしょうか。
 この申請は福島大学ですけれども、オール日本という形でやっているところの施設が全部一緒になりまして、こういった形で進めています。非常に画期的な治療なものですから、できるだけバックアップしたいということでございます。

○田中構成員
 この技術は外国ではどの程度やられているかというのがありましたら教えていただきたいのですが。

○猿田座長
 先ほどお話がありましたように大分前から外国では進んでいます。日本に入ったのは2003年です。福井先生、たしかその辺りですね。

○福井構成員
 外国では1974年に最初にやられて、日本では2003年からということです。

○猿田座長
 一番ポイントになるのは免疫抑制剤の使用のことかと思います。
 もし他に御意見がなければ、こういう形でオール日本としてやっていくという形でお認めしたいと思いますが、よろしいでしょうか。経済的な問題はもう1回よく検討していただいて、患者さんに対する負担はできるだけ少なくしていくということでやっていただくことかと思います。事務局、それでよろしいでしょうか。
 それでは、この膵島移植に関しましては今の形で認めさせていただきます。福井先生、どうもありがとうございました。
 続きまして026の転移・再発を有する腎細胞癌に対するピロリン酸モノエステル誘導γδ型T細胞と含窒素ビスホスホン酸を用いた癌標的免疫療法ということで、これは吉田先生のほうからよろしくお願いいたします。

(中略)

○猿田座長
 これはまた先へ行って議論することになると思いますけれども、先生どうもありがとうございました。貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 それではこれで本日の先進医療会議52回目でございますけれども終わりたいと思います。次回の予定だけよろしくお願いいたします。

○事務局
 次回の日程等、詳細につきましては決まり次第御報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○猿田座長
 ありがとうございました。皆様の予定でできるだけ出られるような日程を選んでいただきたいと思います。御協力ありがとうございました。


午後4時09分 閉会

【照会先】
 厚生労働省保険局医療課医療係
 代表 03-5253-1111(内線3276)



厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html

(抜粋)
先進医療の各技術の概要について

○ 平成23年8月1日現在

第3項先進医療(33種類)

番号:30
高度医療技術名:重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する心停止ドナーからの膵島移植
適応症:重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病
技術の概要:膵島移植は、血糖不安定性を有するインスリン依存状態糖尿病に対して、他人より提供された膵臓から分離した膵島組織を移植することで血糖の安定性を取り戻すことを可能とする医療である。局所麻酔下に膵島組織を門脈内に輸注する方法で移植され、低侵襲かつ高い安全性を有することが特徴である。本治療法においては、血糖安定性を獲得するまで移植は複数回(原則3回まで)実施でき、免疫抑制法は新たに有効性が確認されているプロトコールが採用されている。



(Link) 膵島移植の高度医療への承認につきまして

2010年11月 1日
日本膵・膵島移植研究会事務局
代表 後藤 満一

膵島移植の高度医療への承認につきまして 

 日本膵膵島移植研究会では、膵島移植の再開にあわせて、「高度医療評価制度」による臨床試験の実施を計画しておりましたが、このたび、「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する心停止ドナーからの膵島移植」が、平成22年11月1日に高度医療(第3項先進医療)に承認されました。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html
 これまで日本では、保険診療と自由診療を組み合わせた混合診療は許されておらず、この場合には、すべての治療費が自己負担になっていました。「高度医療評価制度」では、一定の要件(国内外で安全性と有効性に関する科学的な根拠が示されていること、倫理的配慮がなされていること等)を満たしたものを「高度医療」として認定し、一部の入院に関わる費用を保健診療、それ以外の膵島分離や未承認の薬剤投与にかかる費用を自己負担、とした混合診療が可能となります。
 膵島移植は高度な医療技術ですが、膵島分離・移植術および移植後の免疫抑制剤の使用については、保険診療の適用となっていません。しかし、高度医療の臨床試験により、その効果と安全性が認められれば、将来的に薬事承認や保険診療適用への迅速化が図られることになります。その結果、膵島移植治療が保険診療として認められれば、患者様の経済的な負担は軽減し、より多くの方々に移植を受けていただけるようになります。現在のところ、この保険適応外の自己負担分の費用の大部分については、国から研究費の補助を受けて実施することになっております。
 臨床試験の開始までには、臨床データの登録・管理体制を確立するためにさらに2ヶ月程度の期間を要する見込みです。開始時期が確定しましたら、文書およびホームページ上にて詳細をお知らせする予定です。
 何卒よろしくお願い申し上げます。



2011年10月 数日後 自宅に、これと同文の案内が郵送で送られて来ました。







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